2010年12月21日火曜日
牛猿合戦
ある時、森の中で牛と猿が縄張り争いを始めました。
「この森はおいら達、牛が支配する」
「嫌、俺達、猿が支配する」と、長い間結論が出ませんでした。
そこで、森の仲間達は皆で集まって支配者を決める方法を相談しました。
相談の結果、この際、駆けっこで決めてはどうかと言う事になり、森の端から端までを競う事になりました。
双方とも異存は無く、納得しました。
代表に選ばれた牛はこの日から、毎日、毎日、汗を流しながら練習に励みました。
血を吐きながら、ひづめが割れて血がにじむほどの練習に周囲のもの達も練習のやり過ぎだと心配の声も上がりました。
かたや、代表に選ばれた猿は駆けっこの練習は一切せずに毎日、木登りをしながらせっせと木の実を捕って溜め込みました。
決戦の日の前日、牛は体調万全に整え決戦に備え早く寝ました。
猿は以前から溜め込んだ木の実を審判達数人の家へ配って歩きました。
審判達は珍しい食べ物に大変、喜びました。
観客はスタート地点とゴール地点にのみ集まりました。
審判は各所に数人が配置されました。
「ヨーイ、ドン」
スタートダッシュは猿が速いです。
牛は体の大きい分、加速が付くまで時間が掛かります。
スタートして間もなく、先行していた猿は木の枝に飛び移り、牛の来るのを待っていました。
猿は牛が木の下を通過しようとした瞬間、牛の背中にポンと飛び移りました。
牛は必死に走っている為、背中の猿に気が付く事はありませんでした。
そのまま、ゴール近くまでず~っと猿は牛の背中に乗ったままでした。
そして、ゴール手前の観客のいないところで猿が牛の背中を力強くポ~ンとひと蹴りすると体が軽い猿は宙に浮きそのまま、牛より先にゴールしました。
勝負は猿の勝ちでした。
審判員も木の実と言う賄賂を貰ったので訴え出る者はいませんでした。
その日から、森の支配者は猿と言う事に決まりました。
しかし、ずる賢い猿の支配は長く続きませんでした。
自分に都合の良いことばかりを優先した為に他の動物達が怒りだしたのです。
賄賂を貰った者もこのままでは森が駄目になると反省して自白する始末です。
あっという間に代表猿のせいで猿一族は森を追い出せれました。
そして、二度と消息は分かりませんでした。
その後、森は牛を中心として、皆で仲良く暮らしました。
菅内閣の栄枯盛衰の一節でした。
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