2011年8月21日日曜日

電波権はタダで使わせるべきか、有償にすべきか。

週刊ポストの記事をまとめてみました。

テレビ局の「電波使用料」は売上高のわずか0.14%しかない本誌は総務省への情報公開請求によって、テレビ局が「公共の電波」を独占することでどれだけ荒稼ぎしているかを示す資料を入手した。

テレビ局は国(総務省)から電波の割り当て(放送免許)を受け、毎年、電波利用料を支払っている。下表はNHKや民放各社が国に支払っている「電波利用料」と売り上げを比較したものだ。

例えば、日本テレビが支払う電波利用料は年間わずか3億7600万円なのに対して、売上高はその738倍の2777億円。TBS、テレビ朝日、フジテレビなど他のキー局も電波を格安で仕入れ、その数百倍の収益をあげている。まさに「濡れ手で粟」の商売である。

【NHK】
電波利用料(A):14億8700万円
事業収入(B):6644億円
Bに占めるAの割合:0.22%

【日本テレビ】
電波利用料(A):3億7600万円
事業収入(B):2777億円
Bに占めるAの割合:0.14%

【テレビ朝日】
電波利用料(A):3億7000万円
事業収入(B):2209億円
Bに占めるAの割合:0.17%

【TBS】
電波利用料(A):3億8500万円
事業収入(B):2727億円
Bに占めるAの割合:0.14%

【テレビ東京】
電波利用料(A):3億6000万円
事業収入(B):1075億円
Bに占めるAの割合:0.33%

【フジテレビ】
電波利用料(A):3億5400万円
事業収入(B):1717億円
Bに占めるAの割合:0.21%

【その他、地方局計】
電波利用料(A):9億1251万円
事業収入(B):1兆2525億円
Bに占めるAの割合:0.07%

【全国128局計】
電波利用料(A):42億4641万円
事業収入(B):2兆9676億円
Bに占めるAの割合:0.14%

※週刊ポスト2010年11月12日号

地デジ化のため携帯1台につき年間250円払わされている政府が国有地2兆4000億円分を民間企業に無料で与えたとしたら、メディアはこぞって「国家的背任」と追及し、国民は怒りを沸騰させるに違いない。

 テレビ局はそれと同じことをしているわけだが、もちろん自分たちの「不当利得」は報道しない。しかし、いくら我慢強い国民でも、次のカラクリを知れば、黙っていられないはずだ。

 政府のテレビ局への利益供与によって生じた国の損失は、実は、国民が支払う携帯電話料金で穴埋めされていたのである。

 どういうことか。順を追って解明しよう。

 政府はこれまで巨額のカネを使って地デジ移行を進めてきた。テレビ放送の周波数帯が変わることから「アナ・アナ変換」と呼ばれる作業が必要になり、テレビ局の送信設備の対策や家庭のアンテナの向きを変えるといった作業に1600億円もの国費が投じられた。さらに本来、テレビ局が負担すべき中継局の整備費用の支援や相談センターの運営費などに2100億円が注ぎ込まれている。

 これには電波利用料が使われているが、前述のようにテレビ局の払う分は年間約42億円だから、まるで足りない。

 その穴埋めをさせられているのが、携帯電話会社の電波利用料なのである。

 総務省の2009年の調査によると、東京の携帯電話の通話料は1分当たりの料金換算で26.5円。ニューヨークの9.9円、ソウルの14.5円、ロンドンの17.3円と比べて高い水準にある。その原因の1つが、この携帯の電波利用料にある。

 全テレビ局の電波利用料は先に記したとおり年間約42億円、これに対して携帯電話会社(5社)が支払う電波利用料は、13倍の約545億円である。しかも、携帯の電波料はユーザーが持つ端末に対しても、1台ごとに年間250円が課金されている。

 携帯の料金明細には記載されていないが、通話料には国に払う高い電波料が含まれ、地デジ対策費に注ぎ込まれるという仕組みなのだ。

※週刊ポスト2010年11月12日号


 テレビ埼玉の電波利用料はワンルームマンションの家賃並み
 電波利用料は放送エリアの面積や受信世帯数ではなく、設置している電波中継器の数によって決められる。地方局はキー局よりさらに安い。

全国のテレビ局で電波利用料がもっとも低いのは「テレビ埼玉」で年間わずか約119万円(売り上げは約40億円)。月々約10万円という東京都内の少し広いワンルームマンションの家賃程度の料金で、埼玉県全域に電波を発信する権利を得ている。

※週刊ポスト2010年11月12日号



電波有効利用のための制度「電波オークション」の頓挫理由「電波オークション」を御存じだろうか? これは、現在テレビ局などが格安で利用している電波を競売にかけることで有効利用し、かつ、新規事業者にも電波を開放する制度である。2009年のマニフェストで民主党は電波オークションの導入を掲げていたが、今国会に提出される予定の電波法改正案から電波オークションは抜け落ちている。

 それにしても、閣議や政務三役の決定を経たはずが、なぜこんなにあっさり覆ってしまったのか。そこには、総務官僚たちの猛烈な反対があった。

 総務省は、電波を割り当てた事業者(テレビ局や携帯電話会社)から年間642.8億円(2009年度)の電波利用料を得ている。これは税金でないために財務省が行なう国民への再分配の対象とならず、しかも電波法で使用目的を制限しているため、総務省がすべて自らの裁量で使える。名目は一般会計だが、「事実上の特別会計」となってきた。

 その金は何に使われているのか。総務省が公表している電波利用料の使途の内訳を精査すると、すぐに明らかになる。

 地上デジタル放送への移行には、周波数変更に伴い「アナ・アナ変換」と呼ばれる作業が必要になる。この対策事業に、電波利用料からトータル1600億円が投じられている。これを独占的に受注したのは、社団法人・電波産業会。総務省の天下り団体の一つで、専務理事には旧郵政省電波研究所主任研究官が名を連ねている。

『新・電波利権』(アゴラブックス)の著者で経済学者の池田信夫氏はいう。

「総務省にとって電波利用料は、天下り先の特殊法人などにばらまき、所管企業にいるOBに便宜供与して、いうことを聞かせる逆賄賂の財源なのです。総務官僚はこの『隠れ特別会計』を取られたくなかった」

 ところが、電波オークションはこの仕組みをひっくり返す可能性を秘めている。民主党の情報通信議連メンバーとして電波オークションの導入を唱えてきた岸本周平・衆議院議員が解説する。

「電波オークションを導入すると、その収入は一般会計に入り財務省に取られることになる。総務省が自由に使えなくなる可能性が出てくるのです。また、オークションになると総務省が電波の割り当てを決め業者を選ぶという裁量権も失うことになる。総務省の役人からすれば、既得権益のためにオークションはどうしても阻止したかったのでしょう」

 また、別の民主党関係者は、「電波行政改革に熱心だった原口一博議員が総務大臣を辞めたのが大きかった。片山善博・現大臣は、旧自治省ラインで電波行政には明るくない。そこをついて総務省の役人が巻き返しを図ったのではないか」と推測する。

※週刊ポスト2011年2月18日号

テレビ局、格安で電波を使用し荒稼ぎ だが国民は損している週刊ポスト本誌は昨年末、テレビ局の電波利用料に関する資料を入手、その料金がいかに格安であるかを報じた(2010年11月12日号)。全国128局のテレビ局の事業収入が2兆9676億円にのぼるのに対し、電波利用料はわずか42億4641万円(数字はすべて2008年)。テレビ局がいかに格安で電波を使用し、それで荒稼ぎしているかがわかろう。また、携帯電話会社(5社)が支払う利用料が約545億円であることを考えても、テレビ局の優遇ぶりは際立っている。

 この優遇ぶりを是正するための制度として「電波オークション」構想を民主党は2009年のマニフェストに掲げた。これは、テレビ局などが格安で利用している電波を競売にかけることで有効利用し、かつ、新規事業者にも電波を開放する制度である。だが、この制度はいつの間にか棚上げされ、今国会に提出される予定の電波法改正案から抜け落ちている。

 というのも、電波オークションはテレビ局にとって「無料割り当て」と「格安利用料」という優遇制度を崩壊させる恐れがあったのだ。

 テレビ局は地デジ移行にあたっても、無料で電波帯を割り当てられた。その電波帯の価値を海外の事例をもとにGDP比で試算すると、総額2兆4000億円に相当するという(池田信夫著『新・電波利権』参照)。

 だが、電波オークションが広まっていけば、テレビの電波帯についてもオークションしろという声もあがってこよう。たとえテレビ局がオークションの適用から除外されたとしても、格安な電波利用料の問題がクローズアップされることになるのではないか。

 しかし、格安の電波利用料で稼いできたテレビ局が値上げにすんなり頷くはずがない。なるほど、総務省もテレビ局も、既得権益を守るために「電波オークション反対」で思惑が一致するわけだ。しかも、新規参入する事業者にとっても、オークションで初期費用が跳ね上がるのは避けたいところ。今回の「消えた電波オークション」は、官僚や企業は一切損しない仕組みになっていたのである。

 その代わり失われたのは、オークションによって得られるはずだった「公平な競争」と「多額な国庫収入」である。つまり、損したのは国民だ。

※週刊ポスト2011年2月18日号

電波有効利用のための制度「電波オークション」の頓挫理由「電波オークション」を御存じだろうか? これは、現在テレビ局などが格安で利用している電波を競売にかけることで有効利用し、かつ、新規事業者にも電波を開放する制度である。2009年のマニフェストで民主党は電波オークションの導入を掲げていたが、今国会に提出される予定の電波法改正案から電波オークションは抜け落ちている。

 それにしても、閣議や政務三役の決定を経たはずが、なぜこんなにあっさり覆ってしまったのか。そこには、総務官僚たちの猛烈な反対があった。

 総務省は、電波を割り当てた事業者(テレビ局や携帯電話会社)から年間642.8億円(2009年度)の電波利用料を得ている。これは税金でないために財務省が行なう国民への再分配の対象とならず、しかも電波法で使用目的を制限しているため、総務省がすべて自らの裁量で使える。名目は一般会計だが、「事実上の特別会計」となってきた。

 その金は何に使われているのか。総務省が公表している電波利用料の使途の内訳を精査すると、すぐに明らかになる。

 地上デジタル放送への移行には、周波数変更に伴い「アナ・アナ変換」と呼ばれる作業が必要になる。この対策事業に、電波利用料からトータル1600億円が投じられている。これを独占的に受注したのは、社団法人・電波産業会。総務省の天下り団体の一つで、専務理事には旧郵政省電波研究所主任研究官が名を連ねている。

『新・電波利権』(アゴラブックス)の著者で経済学者の池田信夫氏はいう。

「総務省にとって電波利用料は、天下り先の特殊法人などにばらまき、所管企業にいるOBに便宜供与して、いうことを聞かせる逆賄賂の財源なのです。総務官僚はこの『隠れ特別会計』を取られたくなかった」

 ところが、電波オークションはこの仕組みをひっくり返す可能性を秘めている。民主党の情報通信議連メンバーとして電波オークションの導入を唱えてきた岸本周平・衆議院議員が解説する。

「電波オークションを導入すると、その収入は一般会計に入り財務省に取られることになる。総務省が自由に使えなくなる可能性が出てくるのです。また、オークションになると総務省が電波の割り当てを決め業者を選ぶという裁量権も失うことになる。総務省の役人からすれば、既得権益のためにオークションはどうしても阻止したかったのでしょう」

 また、別の民主党関係者は、「電波行政改革に熱心だった原口一博議員が総務大臣を辞めたのが大きかった。片山善博・現大臣は、旧自治省ラインで電波行政には明るくない。そこをついて総務省の役人が巻き返しを図ったのではないか」と推測する。

※週刊ポスト2011年2月18日号

テレビ局 電波利権を激安で使って自社宣伝などやりたい放題新聞やテレビの大マスコミは小沢一郎・民主党元代表をとかく叩くが、その理由はどこにあるか? カギはテレビ局が持つ電波利権にある。

大マスコミの“飯のタネ”は、全国紙も地方紙も子会社にテレビ局を持っていることである。新聞はどこも部数が急落して青息吐息だが、テレビ局は違う。

なぜなら、国民資産であるはずの電波を「公益のためだから」という理屈でタダ同然で使用できる権利を政府から与えられ、それを使ってネットショップで物販はするわ、イベントやら付属施設やらを宣伝しまくって稼ぐわ、やりたい放題なのである。

小沢氏が代表だった時代、民主党は、この利権システムにメスを入れ、諸外国のように電波オークションを導入して適正な利用料を取ること、そして新聞・テレビの一体化を制限するクロスオーナーシップ規制を公約に掲げた。これもまた小沢叩きの動機であり、それを担当した原口一博・前総務相も、いつの間にかテレビから消えた。

菅内閣の代名詞は大増税だが、なんと「新聞代は無税」という法案を準備している。もちろん大マスコミのロビー活動の成果である。

※週刊ポスト2011年2月18日号

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